電気配線とアース線を同系列にすることで”正しく届く”を作る架線工事

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こんにちは。

今回の電気工事は「架線工事」について



現場の増築にともなって、電源供給のための分電盤を新たに設置するケースは意外と多くあり、今回の工事事例では分電盤までの電源を架線(空中配線)で配線するという方法を採用しています。


一見すると簡単な作業にも思えますが、実際には「高さ」「張力」「安全性」「接地」といった複数の要素を慎重に判断しながら進める必要があります。


この記事では架線を選んだ理由と、そこにまつわる現場対応の工夫、そして設計段階では想定しきれなかった“あるトラブル”までを書いています。



増築された工場に新しく分電盤をつけるために架線という選択


増築された工場では、照明や動力設備の増設に備えて新たに分電盤を設置していますが、当然そこに電源を供給する必要があります。


建屋間はある程度距離がある構造で、地中埋設を行うには掘削や配管工事、復旧など多くの工程が必要になるのでコストも時間もかかってしまいます。


また、露出配管で地上を通すには、通行車両(フォークリフトやトラック)との干渉リスクも高く、安全上好ましくありません。


そこで今回は、既存棟の分電盤から、増築棟の分電盤までを「架線」で接続する方法を採用しました。


建物間の間隔、高さ、周囲の動線などの条件が架線に適していることもあり、シンプルかつ安全に電源を引くことができる方法です。



架線を施工する問は高さと張り具合のバランスを見ることが重要


架線配線というと、ただワイヤーを張って電線を吊るすだけのように見えるかもしれませんが、実際の現場では「高さをどう確保するか」「ワイヤーのたるみや張力をどう調整するか」が安全性にも直結するポイントです。


まずは、既存棟と増築棟それぞれの鉄骨部にアイボルトを設置した後に、ステンレスワイヤーを張り、ターンバックルを使って適度な張力を持たせました。


この際注意するのは、張りすぎれば建物に応力がかかりすぎてしまい配線が伸びてしまうことと、逆に緩すぎれば風などで揺れてしまい配線が他の架線や通行する車両等に接触して危険になることです。


下をフォークリフトが通るため、最低でも4.5m以上の高さを確保しておき、高さを保ちながら電線の重量や振動による“たるみ”まで見越してワイヤーを張ります。


配線自体は、ワイヤーに沿って電線を固定するだけなので、最初にかけるワイヤーの高さと張り具合のバランスを整えなければならない「見た目よりもずっと繊細な調整」が必要な工事です。



絶縁不良をきっかけにアース線も電源用配線と同じルートで引き直す


架線による電源配線が完了し、いよいよ絶縁抵抗測定を実施したところで、想定していた数値を下回り、絶縁不良の警告が出るという思わぬ事態が発生しました。


当初の配線計画では、電源(L・N)は既存棟から、接地(アース)は増築棟の既存接地極から取るという構成で計画しており、そのとおりに施工していました。


理由としては、増築棟にすでに設置されていた接地極を活用することでアース線の架線は不要になり、施工も簡略化できると判断していたからです。


しかし、この「電源と接地が異なる建物由来になる」という構成が、微小な電位差を生み出し、絶縁不良のような症状を引き起こしていました。


測定器にとっては、わずかな電位差でも「漏れている」と判断してしまうため、結果的に問題があるかのように表示されてしまったのです。


そこで、電源と同様にアース線も既存棟から架線で一緒に引き直して、電源と接地を同じ基準にそろえることで測定値は安定し、絶縁状態も良好であることが確認できました。



架線はただつなぐだけじゃなく正しく届けるための責任が問われる工事


電線を架線で渡す工事は、一見するとシンプルに見えるかもしれませんが、実際は高さや張り具合の調整、安全性への配慮、動線との干渉回避など、見た目以上に細かな判断が求められます。


そして今回の事例のように電源は既存棟から、アースは増築棟からとった結果、わずかな電位差によって絶縁不良のような症状が発生することもあります。


つまり、電気はただ「届けばいい」のではなく、「どこから、どう通って、どこへ流れるか」までを一つの整った流れとして考えることが重要です。


架線という工法は、省施工や低コストで済む手段として選ばれることもありますが、現場で作業をしているものに求められるのは、その方法が本当に“安全に正しく電気を届ける”ための最適解かを見極める力です。


架線はただ「つなぐ」だけの工事ではなく、設備を長く安心して使ってもらうために、“判断と設計の責任”が問われる重要な施工となります。



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